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14年ぶり3回目のストレングス・ファインダー診断、資質順位はどう変化?

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最近、僕の周りでは自己診断ツール「ストレングス・ファインダー (StrengthsFinder) 」の話題が熱くなっている。

本ツールを、勤め先 IT企業での人材開発・組織開発に活用すべく、チームメンバとともに積極展開中だからだ。

この展開の一環として 14年ぶり3回目の診断を受けたので、その経緯や理解したことを記録しておきたい。

ストレングス・ファインダーとは

ストレングス・ファインダーはアメリカのギャラップ(Gallup)社が提供しているアセスメントツールであり、専用Webサイトで177問の選択式設問に答えると、その人の才能(=頻繁に繰り返す思考、感情、行動パターン)を示してくれるもの。*1

ストレングス・ファインダーではこの思考・感情・行動のパターンを表すことばを 34個の「資質」として分類しており、その人に特徴的な資質を表示してくれる。(各資質には〈最上志向〉や〈着想〉などの名前がついている)

なお、誤解されがちだが、ストレングス・ファインダーで分かるのはその人の「強み」ではない。磨けば輝く可能性ある「強みの素(もと)」として、本人のもつ才能を、資質の相対的順位で示したものが診断結果となる(TOP5資質、34資質順位と呼ばれるもの)。逆にいうと、この思考・感情・行動のパターンは「弱み」にもなりうるものである。

本日時点で、2,810万人超がこのアセスメントツールで診断済みである*2。日本国内でも診断経験のある方、未診断ながら診断用ID付きの本を書店で見かけた方も多いはず。(例えば↓)


僕自身、今年2月に 3回目のストレングス・ファインダー診断を受けた。
以下では、過去3回の診断経験から得た内容を順に紹介していく。

これまでのストレングスファインダー診断経験

初めての診断

ギャラップサイトのデータによると、僕が1回目の診断をしたのは 2002年だ。
書店で2001年発刊の『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』(以下、旧版本) をみつけ、「強みを活かす」という考え方に共感し、本に付属のID*3で診断した。

このときの診断結果はこちら。

  1. Maximizer/最上志向
  2. Ideation/着想
  3. Relator/親密性
  4. Positivity/ポジティブ
  5. Input/収集心


各資質の解説文を読み、自身の特徴がよく出ているなと感心した覚えがある。
(特に〈最上志向〉〈着想〉〈親密性〉の3つには強い納得感があった)

6年ぶり2回目の診断

2回目の診断は 2008年 に実施した。
当時のブログ記事を読むと、誰かに貸したまま行方不明になった旧版本を読みたくなって再購入し、せっかくだからと付属IDを使って診断したようだ。

で、6年ぶり2回目の診断結果はこちらである。

1 包含
2 着想
3 学習欲
4 内省
5 ポジティブ

1回目と2回目でTOP5のうち3つが入れ替わっていた。当時はこんな感想を書き残している。

5つのうち2つが前回と同じ。自分として大切にしたい「着想」が入っていたのは嬉しい。残り3つの新しい指摘項目についても解説を読むと納得感がある。もともと持っていた資質が少し強くなってきたのかなという感じ。特に「学習欲」があがってきたのは最近の仕事上の影響もあるのかもしれない。

2008年春に勤め先で人事部へ異動し、新人研修や新任管理職研修などを企画する立場になったことから、この変化に納得していたことが分かる。また、新たに1位になった〈包含〉についても好ましく感じていた。(このときはまだTOP5資質しか知らなかった)

その後 2016年になってから、この2回目診断時の資質順位を34位まで公開した(要は、追加費用を払っての全順位データ購入)。当時の話はブログ記事に書いたので詳細は割愛するが、6位以下の資質順位をみて次の感想を書いている。

2008年の診断ではTOP5のうち3つが入れ替わっており、「あれ? 変わった?」と感じたのだが、今回 34順位を出してみると、前回のTOP5 もやはり上位にいることが分かった。(略)
生まれ持った強みの傾向は、大きくは変わらないらしい。


さて、以降では、ストレングス・ファインダー診断結果、特にその順位について当然わいてくる疑問について考えてみたい。

そもそも、個人の才能(上位資質)は変わらないのか?

1つめの疑問は、才能(=無意識に繰り返される思考、感情、行動のパターン)の傾向は変わらないのか、ということだ。

これについては、旧版本に以下の記述があった。(太字は本記事のために付与)

あなたの中で、繰り返し現れる思考、感情および行動のパターンを生み出しているものは何か。自らのパターンが気に入らなければ、新しいパターンをつくることは可能なのか。答えはノーだ。繰り返し現れるパターンは、脳の中の複数の神経が連動して生み出すもので(A)、ある一定の年齢を超えると、パターンを1からつくり直すことはできない (B)。つまり才能とは永続的なものなのである。


経験的には「確かに変わらないだろうな…」と感じる上の記述について、本書ではさらに次の解説がある(一部要約)。

  • 脳は早い時期にかなりの大きさに成長し、成人になると縮んでいく。脳は小さくなっていくのに人はより賢くなる
  • 人の行動は脳神経の連結構造で決まり、その構造は個々によって異なる
  • 3歳の時点で1000億個のニューロンが互いに連結し、1つのニューロンにつき1億5000個のシナプスが形成される
  • 形成されても使われないため、3〜15歳のあいだに無数のシナプスが失われ、16歳には回路の半分が壊れる
  • 脳が遮断作業に移ってから10年の間に、遺伝的特質と幼児期の体験に基づいて、遮断すべき回路と、流れがよくて使いやすい回路とが選別される
  • よって、脳内回路の設定は、10代半ばを過ぎると大きく変化することはない

ギャラップによれば、無意識に現れる思考、感情、行動のパターンは、こういう理由で16歳頃までに定着し、その後は変わりづらいということだ。

順位のちがいに大きな意味はあるのか?

続いて、資質順位の変動に関して、順位にどれぐらい意味があるのか、という疑問である。

これも旧版本に解説があった。

この順位にはあまり重きを置かないでほしい。理由は2つある。一つは実際に1位の資質と5位の資質(略)のあいだに大きな差はないからだ。数学の世界では差は重要かもしれないが、現実の世の中でこの差に大きな意味はない
もう一つは、〈ストレングス・ファインダー〉本来の目的がその人の典型的な思考、感情および行動のパターンを発見することだからだ。(略)
優位を占める5つの資質は順位に関係なく、すべてに自動差動装置を備えている。強みを築くにはなくてはならない存在なのだ。


TOP5資質の細かな順位変動については、あまり気にしない方がよさそうだ。

むしろ、上位に登場する資質をどう活かすか、上位資質が(自動作動して)暴走するのをどう制御するか、を考えることに意味があるのだろう。

14年ぶり3回目の診断

…などと書きながら診断を3回も受けるとはどういうことだ、言行不一致じゃないか、との指摘もあるだろう。

この3回目診断にいたる行動も、自身の上位資質で少し説明がつけられると感じた。

  • 「前回診断してから14年経った。その間、仕事もプライベートでも多くの経験をしてきた。何かしら変化があるのでは? 変化していなくても比べてみたい!」〈学習欲〉
  • 「資質順位の変遷を見ることで、何らかの法則を発見できるのではないか。つながりを見出したい!」〈着想〉
  • 「単純に3回分の結果が並ぶと楽しそう。知りたい人も多いだろうから喜ばれるのでは?」〈ポジティブ〉

そんなわけで、実際に今年2月に実施した3回目診断の結果をみながら、気づいたことを書いていこう。

上位資質はどう変わった?

まず、1回目から3回目の間に、TOP5資質や上位資質がどう変わったかを見てみたい。

ちなみに、2回目、3回目は追加費用を払って取得した全資質34順位をもとに記載している(書籍付属のIDではTOP5までしか分からないのでご注意を)

個別資質をみると、〈着想〉と〈ポジティブ〉は3回ともTOP5内にあり、自身のコアとなる資質だと考えて良さそう。さらに、前回3位で今回1位となった〈学習欲〉は実生活でもこの十数年で発現頻度が高まった思考・感情・行動パターンだという自覚がある。

続いて、〈収集心〉は 1回目 5位から2回目 11位に落ちたが 3回目で2位に再浮上した。〈運命思考〉は2回目 9位から3回目 5位に、〈包含〉は2回目 1位で3回目はTOP5から消えたがまだ7位にいる。

TOP5だけをみると毎回 2、3の資質が入れ替わるものの、TOP10(あるいはTOP11)まで広げると上位資質はほぼ安定していると言える。

では、下位 5資質は?

上位資質の変化をブログ等に書いている方はちらほら見かけたが、下位資質について書いている方は少なかった。せっかくなので、こちらも載せておこう。

2回目と3回目で下位5資質のうち、実に4つが共通していた (順位変動はあるものの〈社交性〉と〈指令性〉が入れ替わっただけ)。

この下位資質については「まぁ、そうだろうな」という感想であり、驚きはない。

各資質の説明文を読んでも「そうは感じないぞ」という記述があるし、なによりワクワク感が少ない。〈慎重さ〉や〈指令性〉の説明にいたっては「これは俺じゃないわー」と笑ってしまうほどだった。

下位資質との付き合い方

ストレングス・ファインダーでは下位資質を強化することを推奨していない。とはいえ気になる人もいるだろうから、その付き合い方について 過去ブログ記事 の記述を引用しておきたい。

今回 34資質の全順位を知ったことで新たに生まれた疑問についても、以下のアドバイスをもらえたのがありがたかった。

  • 下位の資質は弱点ではなく、そもそも「無い」ので行動に反映されていない
  • 自分の下位10個を強みとして持っている人を探し、組むことを考えるとよい
  • 下位資質については、自分のTOP5で代替できないかを考えるとよい

「ない」ものねだりをしない。
個人やチームで代替手段を考える。

これに尽きる。

まとめ

最初に診断した 2002年から数えると、ストレングス・ファインダーとは約20年の付き合いとなる。その間、6年経って2回目の診断を受け、さらに14年経って3回目診断を実施してきたわけだ。

これだけ長期に渡って興味を持ち続けているのは、ツールの背景にある「人間の強み」に対する見方に強く共感するからだろう。

  • 「強み」よりも「欠点」のために多くの時間を割いている現状への違和感
  • 「才能」を「強み」にすることは可能だ、という信念
  • 強みに基づく組織文化を築くべき、という提言

また、ストレングス・ファインダーに興味をもつ人たちのコミュニティに関わり続けたことも大きな要因だ。過去記事で取りあげた「横浜ストレングス倶楽部」の存在は大きかったし、ストレングス・ラボ主催ワークショップへの個人参加、社内読書会や職場有志での『さあ、才能に目覚めよう』勉強会などで、多くの人たちとストレングスについて語り合ってきた。現所属部署のボスや同僚が興味を示してくれたことも、最近の取り組み加速につながっている。

ツール考案者である故ドナルド・O・クリフトン博士に敬意を払うとともに、「強みを活かす」ことの価値を感じる人たちとのつながりを大切にし、今後もストレングスに対して積極的に関わっていきたい。

本ブログ記事を書きつつ、改めてそんな想いが強くなった。

(おまけ)4回目診断を受ける気はあるか?

「2度あることは3度ある。3度あることは…」と、気が早い思いも湧いてくるのだが、僕自身は 今後 4回目のストレングス・ファインダー診断を受けないだろう。

理由は、3回目診断の設問回答時に「あ、この設問は〈着想〉について尋ねているな」「こんどは〈コミュニケーション〉だな」という感じを受けたから。

次に受けると、上位にしたい資質の関連設問に強めに回答する邪な心が働きそうなので…。

(参考)2回以上受験についてのGallup公式見解

やはり Gallup社も複数回受験は推奨していない。

クリフトンストレングステストの再受検を希望する人にはさまざまな理由があります。ほとんどの場合、時間が経過しても個人のテスト結果には有意義な変化は見られないため、当社としては、テストの再受検は特にお勧めしてはいません。
ただし、次のような状況でテストを受検された方については、再受検が有用な場合があります。
(後略)

一部例外はあるようなので、気になる方は確かめてみていただきたい。

参考情報

ストレングス関連書籍

◎『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版』
120万部を突破したストレングス・ファインダー本。まずは個人で診断を受けたい場合におすすめ。

◎『ストレングス・リーダーシップ』
成功しているチームを研究した結果から見いだされたリーダーシップの4つの領域(実行力、影響力、人間関係構築力、戦略的思考力)と、 ストレングス・ファインダーの34資質の分類を解説した本。元は2013年発刊だが 2022年6月に新装版発刊。

◎『ザ・マネジャー』
ジム・クリフトン氏(ギャラップ会長兼CEO)とジム・ハーター氏(ギャラップ・ワークプレイス部門 チーフサイエンティスト)の共著。「人の力を最大化する組織をつくる」ことを目的にクリフトンストレングスやQ12などの活用、マネジャーの育成に言及した本。2022年6月発刊

ストレングスファインダー関連の過去投稿

本ブログやnoteで、ストレングス・ファインダーについて書いた過去記事。ご興味ある内容があればあわせて読んでみていただきたい。




(おまけ)
3回目診断の34資質順位 公開は3月だったか…。
ようやくブログにまとめられました。

*1:現在は「クリストンストレングス(CliftonStrengths)」という名称へリブランドされたが、本記事では広く知られている「ストレングス・ファインダー」のままの表記とします

*2:ギャラップサイト https://www.gallup.com/cliftonstrengths/ja/に表示される人数より

*3:初版本のIDは表紙カバー裏に印刷されていた