2017年 最初の一冊として、佐渡島庸平さんの『ぼくらの仮説が世界をつくる』を読んだ。
コミュニティプロデューサーを育成するコルクラボ
『ぼくらの仮説が世界をつくる』は、昨年 雑誌「編集会議」で何人もの方が推薦していたのをきっかけに購入したもの。年末に「コルクラボ」立ち上げの記事を読み、あらためて手にとった。
佐渡島さんが代表をつとめる株式会社コルクは、漫画家や小説家などクリエイターのエージェンシー。記事には、これからの編集者を「コミュニティプロデューサー」として育成していくと書かれている。
これからの時代、作家と共に作品を作る人は、編集者ではなく、コミュニティプロデューサーと呼ばれるような職種になる。
ラボに参加する人達と僕も一緒に学ぶことで、コミュニティプロデューサーというものを定義していく。
2015年12月出版のためか、まだ「コミュニティプロデューサー」という用語こそ本書内には出てこないが、なぜコミュニティを重要だと考えるのか、今後どう向き合っていくかについてはこの時点でたっぷり語られている。
コミュニティマネジメントをテーマに掲げる僕にとって、たくさん線を引き、書き込みしながら 2017年初の読書体験を楽しむことができた(感謝!)。
… と同時に、ここ最近もやもや考えていたことも「仮説」という形でまとまったのであわせて記録(宣言?)しておきたい。
書籍『ぼくらの仮説が世界をつくる』
まず、本書内の「コミュニティ」に関わる記述で気になった箇所を挙げていこう。
作家の頭の中をパブリッシュする
佐渡島さんの証明したい「仮説」は、こちら。
「作家の考えたことを本にする」だけだったこれまでの出版の形が、「作家の頭の中を出版(パブリッシュ)する」という形に変わる、というものです。(p.45)
すこし後にはこんな記述もある。
本というプロダクト1つではなく、そのまわりに付随するすべてを、誠実にパブリッシュすることが、求められていくのです。(p.50)
表現者であるクリエイターであっても、みずからこれを実施するのはかなり大変なこと。
そこで、「作家の頭の中をパブリッシュする」のを コルクの役割 として実施する。その手法としてコミュニティをつくり、この場を活用する形をとるのだ。
居心地のいい居場所を作る
コルクは、ネット空間の中にファンが集う「喫茶店」をどうやって作るのか、どうやって居心地のいい居場所を作るかを考えているのです。(p.120)
これが、コルクでいうところの「コミュニティ」の意味。
作家とのやりとりだけでなく、ファン同士の交流も含めて、「居心地のいい場所」としてプロデュースしていく。
実際、小山宙哉さんのWebサイトには、漫画『宇宙兄弟』のキャラクターが登場する公式ファンクラブ「コヤチュー部」の入口があり、作品の世界観が反映された場所になっているようだ。
koyamachuya.com
いい物語は社会を変える
ぼくの仕事である編集とは、作家が「魂の食い物」を生み出すのをサポートすることです。
(略)
世の中を変えるのは、仕組みではなく、人々の心。物語を作ることは、その心を豊かにするために働きかけることなのです。
よって、いい物語を作ることは、太陽のように、ゆるやかに社会を変えることができます。遠回りのようですが、実はそれが、世界を変えるときの、もっとも近道だとぼくは信じています。(p.222)
いい物語がゆるやかに社会を変えていく。
この考え方には、とても共感する。
佐渡島さんは、作家とともに作品世界(すなわち物語)をつくる「コミュニティプロデューサー」を増やしていくことで、素晴らしい世界をつくろうとしている。
本書を読了して、そんな想いを強くした。
ストレングスの発揮が社会を変える!?
コルクといえばストレングスファインダー
実を言うと、僕がコルクを知ったのは「宇宙兄弟」などの作品がきっかけではない。
コルクでは、当ブログでも何度か紹介した資質診断ツール「ストレングスファインダー」を全社導入し、診断結果も共有している。その紹介記事に衝撃を受け、「なんだ、この会社は?(笑)」と思ったのだ。
とても楽しそうに、そして、各人の強みを活かして働いている感じが伝わってくる。
(ストレングスファインダーを実施したことがある方は、どちらの記事も楽しめるはずなので、ぜひどうぞ)
働き方を変える「コミュニティ×ストレングス」
1月なので、すこし目を転じて世の中のことも考えてみよう。
昨年、大きな問題になった長時間労働については今年も話題になるのは間違いない。この問題をどう解決していくかは、個人レベルでも企業レベルでもテーマになってくるだろう。
ただ、問題への対応が「時間外労働の抑制」に矮小化されてしまう流れがある。目的と手段が入れ替わってしまうことも懸念材料だ。あなたの勤め先ではどうだろうか?
この問題は、単純に働く時間を短くすればいい、という話ではない。「働き方改革」という本質的な面をみないといけないし、そのためには、どうやって「生産性向上」するかという具体的な話が必要になるはずだ。
今回、『ぼくらの仮説が世界をつくる』を読了し、あらためてコルクの記事を読んである想いが湧き上がってきた。
それは、‘働き方を変える鍵を握るのは「コミュニティ×ストレングス」だ”という「仮説」である。
まとめ
「コミュニティ」に着目するのは、関わる人たちの想いや考えをやりとりすることで、相乗効果を生み出そうという理由から。また、「ストレングス」を重視するのは、「働く人の生きがい、やりがい」を高め、結果として成果の質を高めようということである。
2017年以降、「コミュニティ×ストレングス」が大切な考え方として、世の中に広がっていくように感じている。特に、社員数の多い大企業では、ストレングス が成果を生む源泉になるし、コミュニティと掛け合わせることで生まれる効果のポテンシャルが高まる、というのが僕の仮設だ。
以上が、2017年ブログ初投稿。
僕にとっては、仮説の発表 &「2017年にやりたいこと」の宣言でもある*1。
あなたは、今年どんな仮説をたてますか?
コミュニティマネージャー感謝の日
コミュニティ的アプローチを学ぶためには、同じような取り組みをしている人と話をするのが最も効果的。
1月23日に、「コミュニティマネージャー感謝の日」東京ミートアップを、渋谷のスマートニュース イベントスペースで開催する。
僕のように、企業内でのコミュニティ運営に関心が高い人も集まるはずなので、こちらの機会もご活用を!
cmad2017.peatix.com
関連情報
コルク関連リンク
コルク関連のリンクを貼っておきます。
クリエイター・エージェンシーの株式会社コルク 公式サイト
コヤチュー部(KoyaTube)
カサリンチュ×宇宙兄弟 『あと一歩』Music Video
(偶然見つけて涙腺を刺激されまくった動画)
過去記事
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