今朝の新聞で「読書感想文」という文字をみつけ、「そういえばここ数十年書いてない。あれ、苦手だったなぁ…」と甘酸っぱい記憶が蘇ってきた。
父親が大の本好きだったので実家の本棚には歴史小説をはじめ多くの本があった。にもかかわらず、僕自身は 20代後半まであまり本を読んでこなかった。いま思えばもったいなかったし、読んでいたらすでに他界した父とも読書談義ができたかなぁ、なんてことを考える。
いま自宅には壁一面の本棚に硬軟おりまぜた本が並んでいるのだが、ふと「自分がいま中学生、高校生だったら、どんな本を読みたいかなぁ」という疑問が湧いてきた。せっかくなので、本好きになった今の僕が「中学・高校時代の自分に読ませたい本」という観点で5冊チョイスしてみることにした。
「この夏、何か読んでみよう!」と思っている中学生、高校生(もしくは、その親御さん)の参考になれば!
(はてなブログ 今週のお題「読書の夏」にも登録)
※どれもオススメの5冊ですが、「読書感想文を書く」ことを意識して、読む時間が短い(であろう)順に並べておきます(笑)
中学・高校時代の自分に読ませたい本 5冊
心に響く小さな5つの物語
月刊「致知」編集長 藤尾秀昭さんの巻頭言から、5つの物語を再録した短篇集。きっと読むのは20分もかからないだろうけれど、さまざまに感情を揺らしてくれると思う。片岡鶴太郎さんの挿絵も素敵な味わいを醸し出している。
イチロー選手が小学校卒業時に書いた文には背筋がピンと伸びる思いがする。個人的には、5番目の物語「縁を生かす」がいちばんグッとくる。
※参考: 公式WEBサイト(15分で読める感動実話)
自分を育てるのは自分
著者 東井義雄さんは兵庫県で小学校、中学校で教鞭をとり、校長としても数多くの子どもたちと接してこられた方。本書は昭和55年、56年に実施された講演を書き起こしたもので、まるで会場にいるかのごとく言葉がすっとストレートに伝わってくる。
タイトルにもあるように、東井先生が出会った多くの子どものエピソードを通じて伝えたい主張は、次の言葉に集約されているように思う。ぜひ味わって読んでみてもらいたい。
世界でただ一人の私を、
どんな私に仕上げていくか。
その責任者が私であり、
皆さん一人ひとりなんです。
※2年前、読書会で読んだときに響いた箇所はこちら。
「手紙屋」
実話をもとにした1,2冊目とは一転して、こちらは喜多川泰さんの小説。主人公 諒太が、「手紙屋」という不思議な職業の男性と10通の手紙をやりとりするなかで、人生に対するさまざまな考え方を学んでいくストーリー。推理小説のようなちょっとした謎ときの要素もあって、いま後半からエピローグにかけてを読み返してもドキドキする展開だった。
主人公は、就職活動中の大学4年生なので、中高生にはちょっと早いかもしれないけれど、「何のために学ぶのか」を考えるためにもおすすめの一冊。なお、この本を読んだあとで「手紙屋 蛍雪篇〜私の受験勉強を変えた十通の手紙〜」を読むのもいいかもしれない。
自分の答えのつくりかた
主人公ピンキーが新しい世界に飛び込み、自分にとっての「考え方」や「価値観」の育て方を学んでいくストーリー。批判的思考(クリティカル・シンキング)、ピラミッドストラクチャーなどの方法論を、物語のなかで「留学先をどう選ぶか」や「サメから逃れる移住先をどこに決めるか」(あ、ピンキーは魚なんです…笑)など、意思決定時の思考ツールとして登場させていて、読み物として楽しみながら頭に入ってくる。
著者・渡辺健介さんの提唱するIDPM(InDePendent Mind)は、想定読者である中高生にはもちろん、僕ら社会に出ている大人たちにも必要なことだと思う。
君たちはどう生きるか
中学2年生の主人公 コペル君(本名は本田潤一くん)が、級友たちとのやりとりや叔父さんとの対話を通じて、精神的に成長していくストーリー。解説を含めて 339ページあるけれど、物語部分はとても読みやすく、ページ数ほど読むのに時間はかからない(はず)。男の子ならではの葛藤や悩みみたいなのもあるので、こちらは男子向けかも。
以前、別エントリも書いたのでネタバレが気にならなければこちらもどうぞ。
おわりに:ご縁のあった【あなた】へ
ここにあげた5冊は、すべて僕が30代、40代になってから読み、感銘を受けた本。
僕自身が10代の頃に読んでいたら、どんな感想をもつかは正直なところ分からない。同じように「おー!」と感じたかもしれないし、「ふーん」で終わってしまうかもしれない。けれど、このエントリを自分で検索して辿りついた【あなた】には何かのきっかけになると思う。
夏休みの読書感想文宿題がきっかけでもいいし、ブログやtwitterのネタ探しでも構わない。何かのご縁でこの5冊を知ってもらったことで、これからの人生のどこかで思い出し、1冊でも手にとって読んでくれたら幸せだ。
最後に、僕が好きな言葉を2つお贈りして本エントリは終わろう。
「我以外皆我師也」
「人間は逢うべき人には必ず会える。しかも一瞬早すぎず、一瞬遅すぎないときに」
素敵な本とともにハッピーな人生を!