本ブログ開設時コンセプトは、「人は感情の生き物だ」という言葉をポジティブに活かそう、というもの(だから略称も「ヒト感!!」)。そんなわけで、書籍や雑誌で「人は○○の生き物だ」というフレーズを見つけるたびに投稿していた。
ここしばらく収集をサボっていたが、2024年からまた集めていきたい。
ちょうど、いま読んでいる本で1フレーズ見つけたので、その記録から…。
人間そのものへの信頼
『コミュニティ経営のすすめ』より
「あいだのある組織の作りかた」というサブタイトルが気になって読み始めた『コミュニティ経営のすすめ』。
管理・統制によるピラミッド型(ヒエラルキー型)の経営スタイルから、自律分散・働きがいを重視したコミュニティ型ヘ。コミュニティ経営とは、「未来」ばかり見るのではなく、働く人の「今」へ意識を向けていく経営だと理解した。
で、本書で見つけたのがこちらのフレーズ。
人間は本来、他者に貢献し感謝されたい生き物である
「第2章 生命体としての組織への理解」で紹介されている「クレド朝礼」の説明の中に、その表現はあった。
“ありがとう”を語る時は誰しも自然と笑顔になり、表情も明るくなります。とかく朝は、マインドが低い状態になりがちですが、“笑顔になる” ことと、“自身の気持ちを言葉で吐き出す”ことで、マインドを高め、良い状態で業務や仲間と向き合うことができ、チームとしてのパフォーマンスも上がるという訳です。
(略)
自律分散な組織経営を実践している会社の根底にあるのは、「人間は本来、他者に貢献し感謝されたい生き物である」という人間そのものへの信頼感です。
ここでは、職場朝礼でクレドを読んで感じたことを話す施策の背景に、人間への信頼感があることが強調されている。けっして「貢献したい」「感謝されたい」という気持ちを搾取しようということではなく、人間の持つ自然な感情を理解し、大切にしようということだと感じた。
『ゆとりの法則』より
昔読んだトム・デマルコ氏の『ゆとりの法則』にも、人間への信頼に関する印象的な記述が登場する。
信頼を与えることによって信頼を得る
プロジェクトの管理者に対して人間的側面を見る大切さを説いた本書『ゆとりの法則』。僕が好きなのは「第III部 変化と成長」に登場する次のエピソードだ。
ロサンゼルスからの長い夜間飛行のすえ、朝のシドニーに到着した私は、人波が通りすぎるのを待ってから立ち上がって通路に出た。もう一人、数列前の席で、二人の小さな女の子を連れた女性が待っていた。(略)「片手があいていますから、なにか運びましょうか」
「お願いします」と女性は答えた。そして天使のような金髪の少女を私の腕の中へ渡した。私はどぎまぎしながら飛行機を降りた。(略)たったの3分ほどの出来事であり、しかも19年前だった。でも、いまも忘れていないし、これからも忘れないだろう。
信頼を与えることは、おどろくべき効果をもつ行為である。与えられた側は、ほとんど無意識のうちに、相手へ忠誠を返す。才能のあるリーダーは、直感的に、なにかを人に任せる方法を知っている。日常的にそうしている。まだそれ相応の実績をあげていない人にも責任を与える。背を向けるべきときと、賭けるべきときを心得ている。
荷物を持つのを手伝うつもりで声をかけたのに、子どもの身体を託されてしまったら、一体どんな気分になるだろう。いま読み返しても顔がニヤついてしまう。
「信頼を与えることによって信頼を得る」というのはテクニック論ではなく、その人が「人間そのものへの信頼」を確信的に持っているかどうかの話である。いわば「あり方」が試されている、ということだ。
この「あり方」こそがコミュニティ経営の大前提であり、会社や組織の経営だけでなく、チームやプロジェクトのマネジメント、はたまた家族関係を円滑にまわしていくにも繋がるのだろう。
「貢献したい」「感謝されたい」という気持ちを、素直に発露してもらえるような環境づくりをしていきたい。
関連情報
著者・有限会社 人事・労務 による本書解説
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