9月7日、EGMサミット2012 Summer に参加した。
このイベントは、社内SNS をはじめとする“EGM (Employee Generated Media)”について、考えを深めて次の行動に移そうというもので、2010年から開催されている(主催:EGMフォーラム)。
僕にとっては、昨年10月のEGMサミット 2011 Autumnに続いて2回目の参加。今回の参加者は前回より増えて約100人。この分野の関心の高まりを感じる。
イベントでは「EGM原点回帰」をテーマとして、以下の2つのパネルディスカッションが行われた。
- 第一部「もしあなたが社長だったらEGM欲しいか? 〜会社公認EGMのメリットとデメリット〜」
- 第二部「EGMと越境する社員〜あの壁を壊すのはあなた〜」
第一部の冒頭、「あなたが社長だったら EGM が欲しいか?」という問いが会場に投げかけられる。自信をもって「はい!」と手を挙げる僕。だいたい7割くらいの人が手を挙げていたようだ。やはりこういうイベントに来る人は、EGMやSNSに肯定的な意見をもつ人が多い。facebook や 社内SNSなどの「場」に参加して、活用している人も多いようだ。
一方、その後のディスカッションが進むと、不思議な違和感が心のなかに増してきた。会場のみなさんの興味や関心が一昔前の課題に先祖返りしている気がしたからだ。例えば、「会社公認とは何か?」、「招待制と全員アカウント事前準備はどちらがよいか?」「実名制よりも匿名性の方が書き込みされるのでは?」といった開始前のコミュニティ設計について。あるいは、「炎上したらどうする?」「勤務時間中に書き込むのを認める?」「ON と OFF の話題の比率は?」といった運営方針や投稿ルールについて などなど。どれも10年以上前にナレッジマネジメントが騒がれた頃に議論された課題だ。
SNS、twitterクローン、facebook やその他グループウェアなど、社員間のコミュニケーション&コラボレーションのためのツールはどんどん良いものが登場している。ただ、そういったツールで構築された「場」の上で、何を目的にどんなやりとりをするかについては、10年前も今もまだ明確になっていないのかもしれない。
今回、イベントに参加している方々と話をしてみて、次の2点は「あ〜、そうなんだ!」と意外に感じた。
この2点をみても、僕が12年前に社内Q&Aコミュニティを立ち上げたときと比べると、状況が大きく好転していると言える。すなわち、すでに場があり、かつ、運営に関心をもっている人たちが社内で一定のパワーを持っている、ということだろう。
EGMに対する僕の意見はこうだ。
会社公認のEGMがあるのなら、「場」として「メディア」として使い倒していけばいい。ただし、メディアとしての使命や矜持を忘れずに。要するに、コミュニケーションの活性化そのものを目的とするのではなく、「今までできなかったこんなことをやれる場にする」「こんな世界を目指す」といった思いを言葉にしていくことが肝心。
まだ公認のEGMがないのなら、アングラでもゲリラでも小さく初めて「こんなことできたらいいでしょ?」という事例を積み上げていくこと。そして、その会社に合うテイストでのEGM立ち上げの同志を探していくこと。これは、気づいた人がやるしかない。
EGMは、社内だからこそ別メディア(対面、電話等)を組み合せることが可能だ。これは、インターネット上のオープンな SNS のように、相手のバックグラウンド情報を限定的にしか知らずにやりとりする場と比べると、明らかな強みでもある。facebook や twitter で縦横無尽にやりとりできる今の時代だからこそ、会社の中にも組織やロケーションを越えてやりとりできる場(新たなつながりを生み出す場)はあった方がよい。
それを立上げ、サポートしていくのは「すでに越えちゃった人 (C)八田さん」なのだろう。
社内で組織を越えること、社外に飛び出して同じテーマで語り合うこと、社内と社外をつなぐこと。これらの行為に何らかの価値を見出しているのが、この EGMサミット に集まっている人たちのはずだ。
そんなわけで、参加した感想のまとめはこうなる。
- 気づいた人が動こう。
- そして、自分の周りを変えていこう。
- そのために、ここに集まった仲間同士でサポートしあおう。
「原点回帰」というテーマのおかげで、こういう根っこの想いを改めて確認することができた。
イベントを仕切ってくださったスタッフのみなさん、登壇者のみなさんにあらためて感謝!
関連リンク
パネルディスカッションに登壇されたみなさんがアップされているレポートです。あわせてどうぞ。
おまけ
「壁、かべ、カベ…」と思いながら自宅本棚を眺めていると、岡本太郎さんの『壁を破る言葉』に目がとまった。
- 作者: 岡本太郎
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2005/04/01
- メディア: 単行本
- 購入: 8人 クリック: 45回
- この商品を含むブログ (99件) を見る
パッと開いたページには次のフレーズが書かれていた。
壁は自分自身だ。
そう、EGMにかぎらず、社内で何かを変えていこうとするならば、まず自分の中にある壁と対峙する必要がある。
自身の心の壁を壊すのは、自分なのだよ! > 俺