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賛辞より罵倒が気になる動物 〜 だからこそ敬意(リスペクト)を!

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毎週日曜、朝日新聞に掲載されている「仕事力」という連載コラム。
朝日求人とのタイアップ記事なのだが、毎回かなり興味深いインタビューが載っており、密かに楽しみにしているコーナーだ。
https://info.asahi.com/shukatsu/asakyu/

先週までは山下達郎さんが4回続けて登場。
コラムタイトルは「職人でいる覚悟」で、達郎さんの仕事へのこだわりぶりがたっぷりと語られていた。

8月28日掲載の第4回「文化を傷つけない」は、こんな言葉で始まる。

音楽だけではなく、映画や小説、絵画、スポーツなどの分野も同じだと思いますが、商品として売っていく中で「世の中を変える世紀の傑作」とか、「数百万人を感動させた」と誇大宣伝を打つケースが少なくない。


達郎さんは、こういう宣伝を「ビジネスなので仕方がない」と受け入れつつも、結果的に引き起こされる行き過ぎた評論が仕事やアーティストへ与える悪影響をとても懸念している。

それは内容とは別の問題なのに、宣伝ほどじゃないとか、過大評価が気に入らないと思う人々が、今度は批判を浴びせます。そういう過大な称賛と不必要な批判が錯綜(さくそう)し対立するたびに、文化は傷つき、人の気持ちもすさむように思えます。


「ポジティブ情報よりもネガティブ情報にひっぱられる」人間の特性が次のように表現されていて、大いに納得できた。

厄介なことに人間は、千の賛辞の中の一つの罵倒をすごく気にする動物なので、その中で冷静に自分の仕事を自己評価することは至難です。まして、自己の克己心だけでその苦しさを乗り越えていくことはさらに難しい。


達郎さんがこの解決策として提示しているのが、周りの人たちからの「敬意(リスペクト)」の心だ。

だからこそ職種を問わず、仕事人になったら、好き嫌いと良しあしをきちんと区切って、他者の作品や仕事への敬意を払わねばなりません


先日読んだ『U理論』でも「VOJ(Voice Of Judgment:評価・判断の声)」の悪影響が紹介されていた。とかく、人間(特に、同質性の高い日本人)は他者の仕事に対して極端な評価を与えがちな生き物のようだ。


好き嫌いによる条件反射で評論したくなるのをグッと堪えて、まずはその仕事に注がれたエネルギーに敬意を払う。そのうえで、その仕事(や成果物)が、自分にとって(あるいは社会にとって)「どんな意味があるのか」「そこから何が学べるか」を探究し、「どう改良すれば今の課題を乗り越えられるか」を考え、実践していける人でありたい。


新しい総理大臣が誕生した週末に、ふと、そんなことを考えた。

参考本



追記:朝日求人コラム「仕事力」の配信サイトが変わったようなので、本文冒頭のURLを変更しました。残念ながら、達郎さんの記事は掲載されていないようです(なので、記事への直リンクは当時のまま)
https://info.asahi.com/shukatsu/asakyu/