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3本の指 と 3つの声 - U理論を学ぶ(1)

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1月25日、中土井僚さんのミニワークショップ「自らをターニングポイントへ導く 3つの法則 〜U理論が解き明かす新しい未来への扉」に参加してきた。


U理論』をザザッと読んだもののピンときていなかった僕にとって、中土井さん(『U理論』"TheoryU"の翻訳者!)による日常事例をまじえた解説はとても理解の助けになった。ようやくU理論の学びの入口に立てた感じだ。(中土井さんの笑いあふれるテンポよいしゃべりっぷりにも感謝!)

U理論とは

U理論とは「複雑性の高い問題を解決するために、個人やグループ・組織・社会が変容しているプロセスを表した理論」のこと。話し合いの密度を深めながら、解決策を生み出していく様子が U 字型に喩えられることから、U の谷を「くぐる」とか、「降りる」「上る」なんて表現をされている。


(参考)U理論について - PI Community Japan
 http://www.presencingcomjapan.org/utheory/index.html


この日は、となりに座った人とペアを組んでミニワークをしながら、傾聴の4つのレベルを体験していった。

  • レベル1:ダウンローディング
    • 自分の過去の経験と照らしながら判断的に聞く(相手は、話を聞いてもらえていないと感じる)
  • レベル2:シーイング(観る)
    • 自分が知らない事実を知ろうとして聞く(相手は、言いたいことは言えた、と感じる)
  • レベル3:センシング(感じる)
    • 相手の気持ちを、自分ごとと感じながら聴く(相手は、自分のことを分かってもらえたと感じる)
  • レベル4:プレゼンシング
    • 今、この瞬間に場と一体感を感じている状態(深い確信に満ちた想いが全員に湧き上がる)

3本の指の痛み

僕が一番「なるほど〜」と納得できたのが、レベル2とレベル3の違いについて中土井さんが解説してくれた内容。こんな感じの説明だった。

レベル2は、他人に向けて指を差している状態で、まだ他人ごとです。


一方、レベル3は、指を差したときに自分側を向いている3本の指(=中指・薬指・小指)の痛みを感じる、ということ。いま起きている状況について、自分が片棒をかついでいる実感をもって聞いている状態です。


職場での問題点はもちろん、会社の経営状況や、社会や政治で起きているニュースなど自分とは関係なさそうなことまでも、距離をグググっと縮めて感じられるのがこのレベル3の聞き方だ。

3つの声

そして、もう一つ学んだのは3つの声について。
上の4つのレベルの間にはそれぞれに「壁」があり、それを超えるには3つの声と向き合わなければいけない


この3つの声について、それぞれの心のなかで聞こえる声と、『U理論』内の解説(p.313-314)をあわせて書くと次のようになる。

VOJ(Voice Of Judgment:評価・判断の声)

「聞いたことがある」「違うんじゃないか」「俺はこう思う」etc.

古くて限界づけられている判断・思考のパターン。これを終了させるあるいは保留(サスペンド)する能力がなければ創造性に向かって進むことはできず、U曲線のより深いレベルに達することはできない。

VOC(Voice Of Cynicism:皮肉・諦めの声)

「いつもあいつは…」「どうせ…にちがいない」「俺には関係ない世界だろ?」etc.

我々を取り巻く場に飛び込むことを阻む、皮肉、傲慢さ、冷淡さといった断絶的な感情。

VOF(Voice Of Fear:恐怖の声)

「今のすべてを投げだすことになるのでは?」「そんなことはできない…」etc.

なじみのある自己や世界を手放すことへの恐れ、前に進むことへの恐れ、無の世界に身をゆだねることへの恐れ。


VOF を飛び越えた一つの事例として紹介されたのが、業績不振で解散寸前となった会社の社員集会でのある女性のセリフ。彼女が涙ながらに語った「私はこの会社が好きなんです!」という勇気ある叫びが、その場にいわわせたみなの深い内省を呼びおこし、その後みなの一体感を強力に創り上げていったのだとか。

このエピソードを聞いて鳥肌がたった。


どうすれば僕自身がこの域に達することができるのか。まだはっきりとした道筋は見えないが、ますますU理論のことが気になりはじめてきた。テクニックとしてではなく、自分のあり方として、今後とりいれていきたい。


読書メモ

U理論―過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術
C オットー シャーマー, C Otto Scharmer
英治出版 ( 2010-11-16 )
ISBN: 9784862760432


追記

2月24日(木)に、このワークショップの続編が企画されている。


・U理論実感&実践ワークショップ 『関係性からUの谷を下るには?』
 http://presencingcomjapan.org/2011/02/224.html


理解の入口から、もう一歩進むために参加してくる予定だ。
この記事の続編(2)は、この受講後に…。