- 作者: 知的生産の技術研究会,久恒啓一
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2009/12/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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今回は、「第2章/フィールド派の人々」の7名の方々について「知の現場」と気になる発言をメモしてみる。
松田忠徳さん(http://www.matsudanet.com/)
(1) 知の現場
私にとって「知の現場」とは本の世界に入ることと、現場での調査・研究をすることです。
月に100冊以上の単行本を読みますが、その内3分の1は、飛行機で読みます。飛行機内が一番静かな空間です。
野村正樹さん(http://www2s.biglobe.ne.jp/~nml/)
(1) 知の現場
私の「知の現場」は、書斎を想像されるかもしれませんが、今まで120冊以上の本を書いていながら書斎で考えたことは一度もありません。
アイデアが浮かぶのは、だいたい「散歩」「酒場」「現場」「鉄道」に接しているときですね。
(2) 発言メモ
作家・最相葉月さんから聞いた話ですが、鉄道には一つの「"f分の一"ゆらぎ」があるそうです。あの走っているときのカタコンカタコンという音ですが、そこには規則性の間にスピードの変化による微妙な不規則性があります。これが極めて脳のために良いそうです。
久保田達也さん(http://www.kubotatu.com/)
(1) 知の現場
こういった本物に触れたときに、僕はスパークするのだと思う。ひらめきもそうだし、気づきもそうだし、自分より高度なものに触れたときに、自分の脳が喜んで、ワクワクするのだ。それが、僕が知に触発されている現場だと思う。
グーグル本社や、大学の研究室や研究発表の場で、若者が夢を語っているのを聴くことで。
グーグル本社の動きは、非常にダイナミックで一人ひとりのスタッフにスポットを当てた動きがあった。それに触れることは、自分にとってもやる気の湧く出来事だったし、僕にとっての知の現場だった。
(2) 発言メモ
実はその行動が一番重要で、インターネットの時代だからこそ、必要なことだと思う。(中略)
本物に触れるために現場に行くことはけっこうきついが、そうまでしても出かける姿勢を失ってはいけないと思う。
でも処理には限界がある。だから、情報がありすぎると、「そこそこ」やっていくしかないのだ。その分、行動体験をしなくなる。「そこそこ」やって表面だけの理解では深みがなくなってしまう。
自分自身もそうだが、子どもたちの世代に対して、意識しておいてやらなきゃいけないことのように思う。
久恒啓一さん(http://www.hisatune.net/)
(1) 知の現場
「知の現場」に関しては、もちろん自宅の書斎もそうなのですが、大事なのは「現場の知」なんです。現場が最も重要です。大学教員になるとき、ある人から「大学の先生になるなら現場をもちなさい」とアドバイスをもらいました。
(中略)そのときから「地域を自分の現場にしよう」と決めました。それで大学のあった宮城県のあらゆるプロジェクトに参加したのです。
(2) 発言メモ
タイムマネジメントの能力は、自分の能力をはるかに超えた仕事量を引き受けたときにはじめて身につくものだと分かりました。(中略)
朝起きてブログを書くときにも「今日も生涯の一日なり」だから、くだらないことをしてはいけない、今日もまた元気で頑張らなければと敬虔な気持ちになります。
久恒さんのブログタイトルも「今日も生涯の一日なり」。
もう一つは、ここ数年で形が見えてきたのですが、優れた業績を残した偉人の記念館を訪ねて本物の日本人の精神を学び、現代人の心の革命に力を注ぐことです。
「図解」に続く、久恒さんのもう一つのライフワーク。その成果が、昨年出版された「KOKOROZASHI 志」。
- 作者: 久恒啓一
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2009/07/07
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久米信行さん(http://kume.keikai.topblog.jp/)
(1) 知の現場
尊敬する縁者の「城」を訪ねるのが一番楽しいですね。図書館でもなく書斎でもなく、それぞれ道を極めんとする達人たちが一番活き活きとしている現場を訪ねることこそが、私の「知の現場」です。
そんな久米さんの発信するメルマガのタイトルは「縁尋奇妙」。
(2) 発言メモ
もっと頭と心を柔らかくするためには、いつもの守備範囲の外、想定外の領域で情報収集と発想を行う機会が重要です。ここでもブログが役立ちます。
ブログを書くことで、ネタ探しが必要となり、観察力が養われるので。
自分の殻を飛び出して、雑多でカオスな場所に足を運ばねばなりません。
私はアナログ魂デジタル才とよくいっています。魂はアナログなのです。何か情報があったときに「これはあの人が喜ぶな」と私信の感覚で書くようにしています。たとえ1000人に送るメルマガでも、私信だと思えば魂をこめやすいのです。
ブログも大切な友人の顔を思い浮かべて。
昇地三郎さん(http://blogs.yahoo.co.jp/shiinomi100)
(1) 知の現場
日本では道を歩いている100歳代の方をあまり見かけませんが、私は世界中を歩いています。パスポートを持って動いている世界中そのものが、知の現場です。だから自分の足で確実な情報が得られます。
(2) 発言メモ
学生時代を含め、今までの人生の中で影響を受けた本は3冊あります。
1冊目は、『エミール』です。(中略)
2冊目は、『ゲルトルードはいかにその子を育てたか』です。原典はペスタロッチの書いた本です。(中略)
3冊目は、フレーベルの『人間の教育』です。(中略)
- 作者: フレーベル,荒井武
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- 発売日: 1964/05
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私の知の集大成として人間教育についてお話ししましょう。
自立する人になるためには、幼少の頃からの親子のつながりがとても大切です。
(中略)
このように親子が一緒に作業している過程で、子どもと親の二つの心がおもちゃに入り、心が深くなっていきます。
「手作りおもちゃ親子愛情教室」を世界中に広げることが、今後の夢なのだとか。
なんと昇地さんは103歳にして現役ブロガー。記事や写真からは、ほとばしる元気がビンビンと!
小中陽太郎さん(http://home.c01.itscom.net/ykonaka/)
(1) 知の現場
「知の現場」というと研究室や特定の図書館を想像しますが、そういう時代は終わった。ネットをうまく使った稀覯本や、コピーサービスを利用します。
書籍だけではなくて、人間についての雑誌記事、新聞、さらに旅のパンフなども保存しておきます。(中略)死亡記事や大きな事件などの新聞はそこに挟んでリフレッシュしています。死者も日々新たなりです。
『現代人物事典』をアップデート。
(2) 発言メモ
日本では若い人に性急に自立を求めすぎていませんか。アメリカでは高校を出てから、一度働いて自分の得意な分野を見つけて、改めて自分に合った仕事に就くケースが多いですね。
私はこれまでいろいろな国へ出かけました。そこで見聞したことは計り知れないほど、知的生産に役立っています。モットーは「世界を書斎に」です。
関連エントリ
関連URL
追記(2010/2/12)
本書の監修者 久恒さんに(1)エントリを紹介していただいた。2月17日(水)に東京・丸の内の丸善にて久恒啓一さん、樋口裕一さん、山田真哉さんのトークショーがあるらしい。
http://d.hatena.ne.jp/k-hisatune/20100208
いま調整中の予定があるのだが、これが別日程にできたらぜひ行ってみたい。