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財を遺すは下、事業を遺すは中、人を遺すは上なり

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2009年のプロ野球パリーグのクライマックス・シリーズ。楽天は日本ハムに敗れ、日本シリーズへの挑戦権を獲得できなかった。


このシーズンを最後に球団を去ることが決まっていた野村克也監督は、ファンへの挨拶の後、グラウンドで両軍の選手やコーチから5回も胴上げされた。

胴上げされる野村監督
(写真:日本経済新聞:球団創設9年目の初栄冠 写真で振り返る楽天Vより)


敗軍の将が胴上されることはめずらしいが、日本ハムには以前の教え子である吉井コーチや稲葉選手もいて、この感動的な胴上げシーンにつながったようだ。試合後のインタビューでこの時のことを聞かれ、野村さんが答えていた言葉がとても印象的だった。

人間何を残すか。人を残すのが一番。少しは野球界に貢献できたかな。


野村さんは、それ以前にも著書の中で「財を残すは下、事業を残すは中、人を残すを上とす」と書いていた*1。以前から、この言葉の出典が何かが気になっていたところ、月刊「理念と経営」5月号の田舞徳太郎さん連載記事に、おもいがけずこんな記述をみつけた。

財を遺すは下、事業を遺すは中、人を遺すは上なり。されど、財なさずんば事業保ち難く、事業なくんば人育ち難し」
中国唐代の大詩人・白楽天(はくらくてん)の、四十三代目にあたる白彦基(はくひこき)先生が、富山県高岡市在住の四津井清一氏に贈られた言葉です。この名訓を肝に銘じて、安易な世相に流されてはいけません。


ネットで調べても白彦基さんについては見つけられなかったのだが、この出典情報は記録しておきたい。


僕自身、まだ財も仕事も十分には遺せてはいないが、「人を遺す」ことについては仕事でも家庭でも地域でも今が一番のチャンスにいるように思う。いま以上に意識的でいよう。


「理念と経営」 中小企業を活性化する経営誌
http://www.rinen-mg.co.jp/

野村克也さんの著書

就任4年目にして弱小・楽天をクライマックスシリーズに導き、あらためてその指導力を証明してみせた野村監督。

人と組織を変えるにはどうすべきか--50年の球界生活で綴り続けた「勝利の兵法書」、待望の文庫化!

Amazon検索:野村克也さんの著書

野村克也さん関連エントリ



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追記

前段の一文については、後藤新平さんの最後の言葉という説もあるようだ。


後藤新平 - Wikipedia

後藤が倒れる日に三島に残した言葉は「よく聞け、金を残して死ぬ者は下だ。仕事を残して死ぬ者は中だ。人を残して死ぬ者は上だ。よく覚えておけ」であったという。

後藤新平―外交とヴィジョン (中公新書)

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後藤新平の「仕事」 (後藤新平の全仕事)

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  • 発売日: 2007/05/01
  • メディア: 単行本

追々記

2020年2月、野村克也さんが永眠されました。多くの印象的な言葉を遺されたノムさんについて、Q&Aサイト Quora上で質問をしたところ、言葉とともにエピソードも回答してくださっています。よかったら、こちらもご覧ください。

jp.quora.com

*1:★2020年2月追記。
読書記録を調べると、「財を残すは下、仕事を残すは中、人を残すを上とする」は、角川新書『あ〜ぁ、楽天イーグルス』p.160に記載があった。

この言葉を色紙にしたためたところ、ファンの方から「われわれは財を残すために一所懸命やっているのに、下とは何事か!」とお叱りを受けたことがあった。しかし、財産を残すことも仕事を残すことも尊いことだが、人を残すことはそれ以上に大切であるという意味だと私は解釈している。人を残せば仕事も自然にはかどり財も残っていくという意味なのである。
その意味で私が目標としてきたのが川上哲治さんだった。

ノムさんの、川上監督へのリスペクトの念を感じます

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あ~ぁ、楽天イーグルス (角川oneテーマ21)

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