ここ1週間、養老孟司さんの『無思想の発見』を悪戦苦闘しながら読んでおり、昨日ようやく読み終えた。
第1章から第8章までは論旨をイメージするのに頭のなかがグルングルン揺さぶられてページがすすまなかったが、最終の第9章がサクサク読めたことに驚き。きっと養老さんのメッセージが9章にストレートに表現されているからだろう。僕と同様読みあぐねている人は9章をチラリと先読みしてみることをおすすすめ。
さて、本書で僕が頭にのこったのは「感覚世界」と「概念世界」というキーワード。
感覚世界つまり物体の世界を一つの楕円で示し、概念の世界を、その上に位置する、もう一つの楕円で示す。両者の重なりが「言葉」である。言葉という道具は、この二つの世界を結ぶ。(p.120)
言葉のひびきからは両者とも似たようなものを指していそうだが、養老さんの定義では対照的な2つの世界となっている。
五感で捉えられる世界をここでは感覚世界と呼び、それによって脳内に生じる世界を概念世界と呼ぶことにする。(p.120)
感覚の世界は「違い」によって特徴づけられる。概念の世界は、他方、「同じ」という働きで特徴づけられる。(p.121)
日本人はともすると概念世界に逃げ込みがち(無宗教、無思想というのもこちら)。もっと感覚世界を意識してごらん?というのが本書のテーマ
・・・というのが読み終えたばかりの僕の理解なのだが、どないだろうか。
- 作者: 養老孟司
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2005/12
- メディア: 新書
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