致知2011年11月号の巻頭対談は、第48代横綱 大鵬こと納谷幸喜さんと第69代横綱 白鵬翔さん。
(関連: 相撲が終わったら日本が終わる_『致知』11月号より|致知出版社編集部ブログ)
角界で頂点をきわめた二人が、入門当時のこと、稽古のこと、横綱としての心がけなど相撲について語りあう読み応えのある特集だ。
なかでも、二人が熱く語っていたのは第35代横綱 双葉山関のこと。
白鵬関が挑戦したことで話題になった 69連勝という大記録。また、70勝目を目指した一番に敗れて語ったとされる「われ未だ木鶏たりえず」という言葉など。双葉山関の人間としての素晴らしさが多数紹介されていた。
特集の最後のページには、欄外に「力士規七則」という言葉が解説されていた。これは、双葉山関が道場を創設した時、吉田松陰の「士規七則」にあやかって安岡正篤さんがつくったものだそうで、双葉山関はこの言葉を道場に掲げ、毎朝読みあげてから稽古にとりかかったそうだ。
力士という存在がどうあるべきかを語った素晴らしい言葉なので、以下に引用させてもらう*1。
- 一、我等幸に万物の霊長たる人間と生れ、万邦無比の皇国に臣民たり、敬んで臣子の本分を全うすべし。
- 二、相撲は国技なり。国史と共に生成し、国運と共に消長す。力士たる者当に日本精神を体現し、風俗の淳美を粋養すべし。
- 三、力士の大成は最も師友の切磋琢磨に待つ。深く師恩友益を念うて、報謝の志を忘るべからず。
- 四、斯の道は須臾も懈怠あるべからず。由来光陰は過ぎ易く、人生は老い易し。須く時に及んで勉励すべし。
- 五、人にして礼節なきは禽獣に祈し。力士は古来礼節を以って聞ゆ。謹んで斯道の美徳を失ふこと勿れ。
- 六、力士は質実剛健を旨とし、軽佻浮華を忌む。宜しく卓然として時流に拘らず、堂々たる風格を発揮すべし。
- 七、居常健康に留意し、酒色を慎み、澹泊身を持し、荒怠相戒め、以て長く大成せんことを期すべし。
力士規七則 - *ListFreak
今回の対談記事を読み、また、この力士規七則を読みながら、むしょうにこの目で相撲を観たくなってきた。ぜひ観戦にいき、白鵬関の取り組みも生で感じたい。
* * *
それにしても、来日して10年強の白鵬関が双葉山関のことをとても詳しく知っていることに驚いた。なんでも、大関に昇進した時に贈ってもらった双葉山関の著書を読んでから強く興味が湧き、人から話を聞いたり、取組みの映像を見たりなどして研究をしているのだとか。
『相撲求道録』は、たしかに気になる一冊。
- 作者: 双葉山定次
- 出版社/メーカー: 日本図書センター
- 発売日: 1999/02/25
- メディア: 単行本
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参考情報
2011/10/21追記
ネットで注文していた『相撲求道録』が届いた。僕が入手したのは1999年日本図書センター発行だが、底本は1956年に黎明書房から発行されたもの。上で紹介した、力士規七則も、木鷄の話も、安岡正篤さんとの交友についても、双葉山関自身の言葉で語られている。これからじっくり読んでいこう。
*1:先にListFreakにも登録していたので、そちらを引用する形で…