ヒト感!!

人生をハッピーにするヒト・モノ・コトバ、広めたい

『ズッコケ中年三人組』/那須正幹

妹からプレゼントしてもらった本。なつかしくって一気に読んだ。たまにはこういう小説もいい。

2015年発行(予定?)の「熟年三人組」にも期待!

ズッコケ中年三人組

ズッコケ中年三人組

(装丁:大森裕二、原画:前川かずお、作画:高橋信也)<bk1

おまけ

3月16日の朝日新聞土曜版「be on Saturday」に、ポプラ社社長の坂井宏先(ひろゆき)さんがズッコケ三人組シリーズを担当していたときのエピソードが載っていた。ちょっと長いけれど引用しておく。

92年、「ズッコケ三人組」の挿絵を担当していた前川かずおさんが、刊行直前に急性白血病で入院した。人気絶頂期で、初版は発売日に完売。刊行が遅れると「買いに来た子どもが店先で泣いている」と書店から苦情が来ていた。
別の人気シリーズで、1年中断したら、全く売れなくなった経験がある。間が空いたら忘れられる。悩んだ末、知人の画家に似せて描いてもらった。
前川さんは面会謝絶。画家の代打を認めてくれるよう、妻の澄枝さんに伝言を頼んだ。が、「画家を代えるなら別シリーズにしてほしい、というのが夫の考え」と澄枝さんは反発した。
それでも「子どもたちが待っているんです」と訴えた。伝言を聞き、前川さんは了承する。「あの言葉に負けました」と澄枝さん。年末、刷り上った新刊を持って、一時帰宅中の前川さんを訪問し、頭を下げた。半月後、前川さんは亡くなった。
「あのとき、『ズッコケ』を中断させていたら、私はほかの仕事でもダメになっていた」と振り返る。

『ズッコケ中年三人組』の裏表紙には、前川さんが92年に描いた花山第二小学校 六年一組全員の顔が載っている。

『はてなの本』/田口和裕、松永英明、上ノ郷谷太一

SIDE Bの近藤淳也さんインタビューが読みたくて昨日購入。一晩で読んだ。

はてなの初期サービス「人力検索」「アンテナ」「ダイアリー」をどんな想いで開発したかが素直な言葉で語られていた。

はてな人力検索についてはこんな発言が。

そういう検索技術を習得できない人でも、人に聞くことはできますよね。だから、そういうふうにしてものを調べることができる仕組みが必要になるだろうって思ったんです。
 (中略)
そういう人でもずっと使えるものっていったら、やっぱり言葉とか言語といったもともともっている方法じゃないですか。そういう検索サービスを作りたかったんですよね。

逆に、質問料を払っているんだったら、質問者がどんなことを聞こうと別に勝手じゃないですか。だから、無料のところとはてなでは、そういうところがちょっと違うと思いますね。
 (中略)
だから、有料じゃないと駄目だと思っていました。無料だったら「別に2ちゃんねるで聞けばいいじゃないか」っていうことになりますし。

続いて、はてなアンテナについて。

アンテナが一つずつ完全に独立していると、お互いのアンテナが集まっている意味が薄くなってしまいます。(中略)「せっかく集まっているんだったら、おとなりさんのアンテナに興味があるだろう」と思いました。

すべてのサイトを網羅する必要があるかといえば、それは検索エンジンに任せておけばよくって、逆にみんなが注目している上位百万サイトを知っているっていうことがデータベースとしての価値じゃないかとは思っているんですけどね。

データ量はそれほどむちゃくちゃじゃないんですよ。テキストデータで一回前を残すだけでいいんで。HTMLで送信可能な範囲ですし。(中略)表示に使うデータ、はてなアンテナのHTMLの生成に使うデータは、全部今メモリーにのっていますからね。そんなもんですよ。

はてなダイアリーについてはこちら。

tDiaryWikiを結び付けたら、より完成された面白い道具ができあがるんじゃないか」と思ったんです。

僕は「道具の進化」ということにすごく興味があるんですよ。(中略)ある人が新しいものを考えると、みんなの思考はそっちに進む。そういう「道具の進化」を見ているのってすごく楽しいと思うんですけれど。そういうものを一歩進める役になりたいですよね。

自動リンクしないならば、単なる日記レンタルスペースじゃないですか。そういう賃貸だったら、いっぱいありますよね。
 (中略)
そこで「妙につながる変な空間を作って(笑)、それを楽しめる人が集まればいいや」っていう話ですね。

つまり、関心空間では、キーワードは自分の持ち物なんです。もちろん、そういう所有欲はわかるんですよ。
 (中略)
でも、キーワードはふと見たときに内容が変わっていたりした方がいいです。そういう意味で、同じキーワードなら一個にまとめるべきだと思ったんですよ。

でも、「キーワードも一人一個あった方がいい。自分で書けて、人にそんなに変えられたくないんじゃないか」っていう意見も社内にあって、結構もめたんです。僕は「絶対に違う。そんなのは、始めは楽しくって十個も二十個も作るけど、絶対もう一回変えたくない。絶対にそんなのは他の人に変えてもらいたいよ」って言い張って、「いやいや、そうじゃない」って議論をやったんです。
その結果、もめ事も多かったけど、やっぱりキーワードは盛り上がっているじゃないですか。死んだキーワードってほとんどないですしね。

そして、はてなコミュニティ全体について。

「自分の知識とか、いろいろ集めた有益なものを、みんなで共有しましょうよ」っていう思想って、すごく好きなんですよ。
だから、更新チェック範囲でいい設定をしている人がいたら、それはみんなで共有できれば共有できる方がいいだろうし、キーワードにしても、面白い情報だったらなるべくみんなで共有したいっていう思想がありますね。

いろいろ要望が出たときに、それをやるかやらないかはすぐ決まるんですよ。「これはいい」っていうのは直感的にわかります。
ただ、そのあと、どういうふうに作るべきかっていうのはすぐに決めずに、一日か二日ボーっと考えるんですよ。それぐらいやらないと、あまりに影響範囲が大きいんです。

いずれ便利になるものっていうのは、だれかが作って世の中に出てくると思うんですけど、それをうちが最初にやるっていうところが一番大事だと思っています。

松永さんのサービス解説も、はてなというコミュニティの特色や魅力を考えるうえでためになる。いまは変わってきているところもあるのだけれど。*1

はてなの本 (NET TRAVELLERS 200Xシリーズ)

はてなの本 (NET TRAVELLERS 200Xシリーズ)

(デザイン:uya、写真:中野愛子)<bk1

*1:例えば、ダイアリーのaboutページがない、記事単位のページがない などは過去の話で、どちらも今は実装されている。

005:「祝・優勝!」と叫びたくなる気持ち


今日の WBC 決勝戦は、いい試合だった。
自宅テレビ前で応援する手にも思わず力が入る状態で、試合が終わったらどっと疲れるとともに、湧き上がってくる嬉しい感情を感じずにはいられなかった。

誤審やら韓国に対する連敗などいろいろあった大会だったが、とにもかくにも王監督&選手のみなさん、優勝おめでとう!*1

2006/3/21 23:50 追記:
…そんなこんなで祝・優勝な気分に満ち溢れている僕なのだが、よく考えてみると自分自身が勝ったわけでもなく、選手団に知り合いがいるわけでもない(王監督は親父に似てたりするが血のつながりはないし ^^;)。いったいこの喜びはどこからくるのだろうか。

『感情を知る』という本で著者 福田正治さんは次のように記述している。

共感を、共生型共感と非共生型共感の二つに分けて考えた方が理解しやすい。
 (中略)
共生型共感は、他人の喜びを共に共有できることを示す。入学試験に合格すれば家族は心より喜んでくれるし、また運動や芸術の受賞には仲間が心からお祝いを述べてくれる。

共感が生起するためには、前述した自己意識、他者意識、他者存在の認知、他者の感情の分析、他者のおかれた状況の認知などが重要で、生後の学習と経験、そして膨大な知識情報の支援なくして理解することができない。

というわけで、WBC日本代表の優勝に心から喜びを感じるのは、僕の中で共生型共感の生起というややこしいプロセスを経ているのだとか。

快不快のように第一印象でぱっと感じる情動系感情とは異なり、頭のなかでいろいろな処理が行われた結果でてきた「共感」なのだから、大切に味わいつつ眠りにつくとしよう。

感情を知る―感情学入門

感情を知る―感情学入門

*1:題字は、橋本大也さんブログ「Passion For The Future:スポーツ新聞風の見出しフォント画像を簡単に作成する 文字作」を参考にスポーツ新聞風で作ってみました