「他に何か意見はないですか?」
会議の終盤で、進行役(リーダー)がこんな風に質問することがある。
たいていは、
「・・・」
という沈黙がしばらく続き、
「特にないようなので、これで終わります」
となることが多い(笑)。
議論をし尽くしたため本当に追加の意見がない場合もあるが、ほとんどの場合はリーダーが「これ以上は発言させないぞ」というオーラを出しているように思う。チームメンバを緊張させ、発言を抑制してしまっているのは、リーダーのコミュニケーション能力に問題があるのだ。
今週再読した本『強いリーダーはチームの無意識を動かす』には、そんな場合にチームメンバをリラックス状態に導くための質問方法「思考感トランスクエスチョン」が解説されていた。
- 作者: 石井裕之,橋川硬児
- 出版社/メーカー: ヴォイス
- 発売日: 2004/10/16
- メディア: 単行本
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実は、相手に投げかける質問を工夫することでそれを実現できるのです。
まず、質問を次の3つのタイプに分けてみましょう。
《「思」い出させる質問》
《「考」えさせる質問》
《「感」じさせる質問》
《「思」い出させる質問》というのは、相手の頭の中に答えがあり、比較的すぐに返ってくるもの。(例:「先週、本部長に会ったのは、あれは何曜日だったかな?」)
2番目の《「考」えさせる質問》とは、相手の中に答えそのものはないけれど、そのための部品があるようなもの。(例:「スキル育成について妙にこだわっていたが、本部長の腹に何かあるのかな?」)
最後の《「感」じさせる質問》は、相手が答えを一からつくらなくてはいけないもの、つまり、「心の内に入って感じてみなければ答えられない」もの。(例:「キミにとってスキルってどういうものか、教えてもらえないか?」)
著者の橋川さん&石井さんの解説によれば、この《「感」じさせる質問》を多く投げかけていくことで、問われた相手の意識が内向する時間が長くなり、結果としてその相手をリラックスに導くことができるのだとか。
上に挙げた以外にも、次のような例があげられていた。
- 「オフィスの椅子をかえようと思うんだけど、軟らかい椅子はかえって疲れるだろうから、ちょっと硬めの椅子の方がいいかな?」
- 「今、ちょっとだけ目を閉じて、明日のプレゼンの場にいると想像してごらん」
- 「正しい考え方じゃなくって、キミにとってしっくりくる考え方を探してみろよ」
- 「気にするから気になるんだよ。こうやって話をしている間は、自分が呼吸してるってことだって忘れてるだろう?」
- 「沖縄かぁ。いいね。やっぱり空気の匂いとかも違うでしょ?」
こうしてみると、視覚、聴覚、触覚、嗅覚などに意識をもっていくような問いが並んでいる。
正直なところまだ半信半疑なのだが、ちょっと面白い考え方なので、しばらく「思考感」を意識して会話の中に取り入れてみようっと。
読書メモ
2004年12月以来、約5年ぶりに再読。
参考
NLP(Neuro Linguistic Programming) については、提唱者の一人リチャード・バンドラー氏の著書もどうぞ。
神経言語プログラミング―頭脳(あたま)をつかえば自分も変わる
- 作者: リチャードバンドラー,酒井一夫
- 出版社/メーカー: 東京図書
- 発売日: 1986/12
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