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『人間性の心理学』/A.H.マズロー (1)

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先週長旅にもっていった『人間性の心理学』。昨日、第16章までの本編について一通り読み終えた。

まだ付録A,B(これだけで70ページ強!)は途中だが、自らの頭を整理する意味もこめて少しずつまとめていこうと思う。そんなわけでエントリタイトルには(1)をつけた*1


まとめ方としては、自己流フォトリーディングでザザッと頭に入れたあとにリストアップした「本書への質問」をもとに構成してみる。以下がその質問たち*2

  • マズローが提唱しているのは何心理学というのか?
  • メンバを動機づける環境づくりに必要な条件とは何か?
  • 自己実現への向かい方として、(自分に向いている)具体的行動は何か?
  • 本書にでてくる「健康」「よい」「完全」の定義とは何か?


まず1回目の今日は、このお題から。

マズローが提唱しているのは、つまるところ何心理学なのか?

「そりゃ、人間性心理学(ヒューマニスティック心理学)だろ?」という声も聞こえてきそうだが、ネットを検索してみると、ほかにも「自己実現心理学」「第三勢力の心理学」「マズローの心理学」(そのままやん!)という記述がある。


ここでは呼称がどうこうというよりも、その本質をズバリと言い切りたい。


で、僕がいまのところ案として考えているのはこんなフレーズである。

全人口の5〜10%を占める「健康」な人々を対象とした、
「よく生きる」ための心理学

このフレーズは、いくつかの箇所からの印象をもとに言葉にしたものである。以下に元の記述をあげておく。

ほとんどの心理学者が反対の考えをもっているにもかかわらず私には自明のことと思えるのは、すべての行動とか反応が、いわゆる欲求の満足を求めるというかたち、すなわち欠乏しているものを求めるというかたちで動機づけられているとは限らないということである。成熟、表出、成長といった現象あるいは自己実現などはすべて、欠乏しているものを求めるという一般になされている動機づけの法則の枠からはみ出ており、対処(コーピング)としてよりむしろ内的心理的過程の表出と考えた方がよい。(p.48)

最終的に被験者を選んだ基準としては、臨床的定義を用いたが、最初のものは正と負の両側面を備えたものであった。負の基準というのは、神経症、精神病質、精神病、またはそのような強い傾向のいずれにも当てはまらないということである。(中略)選択の際の正の基準というのは、自己実現のはっきりとした証拠であるが、これは正確に表現するのはむずかしい症候群である。(p.223)

我々は自己実現者のためには、普通のとはまったく異なる動機づけの心理学、たとえば欠乏動機に関するものというよりむしろメタ動機、成長動機に関する心理学を構築しなければならないように思える。(中略)おそらく、動機づけという概念は非自己実現者にのみ適用されるべきであろう。我々の被験者は、もはや普通の意味での努力をしているのではなくて、むしろ発展しているのである。彼らは完全を目ざして成長しようとしているのであり、自分自身のやり方でよりいっそう完全に発展しようとしている。(p.237)

価値の観点から見れば、手段に気をとられていたために、目的に対する関心が排除されてしまったといえるかもしれない。この哲学は、事実上すべてのアメリカ心理学(伝統的および修正された精神分析学を含めて)に内在しており、そのために何か有益なことをさせる対処的、変化的、目的的活動の研究に片寄り、活動それ自体や経験そのものが目的であるものを一様に無視する結果となっている。(p.352)

あと、パーセントの話が書かれている箇所があったように思うのだがみあたらず。鋭意捜索中


関連エントリ

  • マズローの欲求階層説(旧blog 人は感情の生き物だ!)
    • 『完全なる経営』の監訳者解説から、金井壽宏さんの整理を要約したもの。他の人に説明するためにつくった実用的なエントリ(笑)。
  • 【気になる】【本】『人間性の心理学』(ヒト感!!)
    • この本を読むきっかけについて書いたもの。あらためてkojiさんに感謝!

*1:はてさて、何回モノになるのやら…。

*2:ほかにも抜き出したキーワードが山ほどあるので、今後の構成は変更する可能性あり