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【宿題のない学校】と【「夢中を止めない」育て方】に共通するのは?

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先日、Facebookでシェアされてきたある動画に衝撃を受けた。

それは、マイケル・ムーア氏がフィンランドの教育についてインタビューするドキュメンタリー映画のワンシーン。

「宿題」は時代遅れ!?

まずはこちらをご覧いただきたい。


最初に登場する女性はフィンランド文部大臣 K.キウル氏。
学校での宿題を廃止した」という”極秘事項”を明らかにする。その心はこうだ。

子供らしく
日々を楽しまないと!


生徒たちへのインタビューのあと登場するのは、高校校長の P.マジャサアリ氏。
彼の語る言葉はもっと過激で、ムーア氏も思わず聞き返したほど。

宿題という概念自体が、
すでに時代遅れ
だと思うから……


「(宿題を)廃止すれば、生徒たちは放課後にもっと色んなことが出来る」というのが、その理由なのだとか。(生徒たちは「宿題を10分やった」と言ってるので、完全廃止じゃなさそうですが…笑)


で、この動画をみた翌日、ふらっと立ち寄った本屋で一冊の本に目を奪われた。

山本香さんの『子どもの夢中を止めない小さな習慣』


発売直後にもかかわらず、教育・育児棚で面だし陳列されていたこの本。
他の本とは明らかに違うオーラを発していて、思わず手に取った。

ページをめくって冒頭のカラー写真をみた結果、すぐに「これは買いだ!」と感じた。

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(息子さんの作った夏休みの自由研究「文房具図鑑」。のちに商業出版されて5万部超のベストセラーに)


家に持ち帰り読んだところ、本屋での直観は大正解!
育児に関する考え方に共感することが多く書かれた、素晴らしい本だった。

本の内容は?

『子どもの夢中を止めない小さな習慣』の著者 山本香さんは、小学6年生のときに『文房具図鑑』を出版(!!)した山本健太郎くんのお母さん。

イラストレーターでもある香さんは、健太郎くんが小さい頃から彼の興味に向きあいながら色んなものを一緒につくっていったのだそう。


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(息子さんの子供部屋の写真。漫画やおもちゃにまぎれて文房具がいっぱい!)


本書には、母親としてお子さんの興味・関心にどんな風に向き合っていったか、その後どんなきっかけで「文房具図鑑」が誕生したかが、とても分かりやすく書かれている。

夢中を止めない育て方

山本家の子育てで心がけていたことは、「夢中を止めない」というもの。

本書によれば、例えばこんなことを実践してきたそうだ。

  • 「コトバのカケラノート」に発した言葉を記録。真似して健太郎くんもノートに書くように
  • ティシュ工作(てるてる坊主やチョウチョ等)は捨てずに取っておく
  • コピー用紙の束と手作り画板を、健太郎くんのおでかけのおともに
  • カラーボックスで作ったミニコーナーをリビングに設置。読書やお絵かきをする秘密基地として。
  • 「ボクの掲示板コーナー」で、家族へ向けて自由に発信
  • 拾ってきたどんぐりで、家族3人の表札づくり etc.


我が家でも、息子が小さい頃は興味・関心をもったものを、親子一緒になってのめりこむようにしてきた。教育方針なんていう大層なものがあったわけではないが、夢中になってやることがただただ楽しかったのだ。

でもおかげで、息子は鉄道車両や国旗、野球選手にめちゃくちゃ詳しくなったし、ウクレレでコード譜をみながら演奏できるようにもなった。小学校高学年にもなると、全国にある野球場の場所をGoogle Earthに登録していったり、卓球の試合成績をパソコンに記録する、なんてことも1人でできるようになっていった。子どもの「夢中力」には親の僕らも驚くばかり…。

「夢中を止めない」は、「今」に集中すること

本の話に戻ろう。
香さんは、「夢中」についてこんなフレーズを書いている。

もし周りが止めさえしなければ、「夢中」はずっと続き、どんどんその世界を深めていく。それは子どもの時代だけの、特別な力のような気がします。(p.140)

一心不乱にのめりこんでいく姿は、たしかに子ども時代ならでは。


健太郎くんが文房具にのめりこむきっかけについても、こんな記述が…。

狭い店内には子どもたちがぎゅうぎゅう詰め。みんな目をキラキラさせながら文房具や駄菓子を選んでいます。健太郎はというと、一歩お店に入ったとたん「たんたん」に心を撃ち抜かれてしまったようです。
 (略)
それから数年後、健太郎は『文房具図鑑』を書き始めます。「夢中」の道を走り出そうとしている子どもに対し、親だけでなくさまざまな大人が、たくさんあるドアから「ここにもあるよ!」と示してくれるのだ、と思っています。(p.176-177)

親はもちろん、まわりの大人が一緒になって「夢中」をサポートしてくれるとありがたい。


「夢中を止めない」育て方とは、言葉を変えると「今」をいっしょに感じることなんだろう。

もともと私は「子どもにきちんと勉強習慣を身につけさせる」ということをあまり重視していませんでした。それよりも絵を描いたり、好きな本を読んだりしているほうが健太郎らしくて、「いましかできないこと」だと思っていたのです。
 (略)
親にできることは、子どもが自分のペースで成長していくのを見守ることと、その子なりの個性を伸ばしていけるように手助けすること、くらいかもしれません。(p.179-181)

他の子と比べることなく、目の前にいる子どもの成長を信じ、ペースを見守り、ときに新しい体験を(さりげなく)提案していくというのが、とても共感できる姿勢だった。

まとめ

『子どもの夢中を止めない小さな習慣』巻末には、白梅学園大学学長 汐見稔幸さんの解説文が掲載されている。

子どもの今が大事なのです。今を将来への準備と考えるのではなく、懸命に生きているこの今を徹底して大事に感じる


母親が書いた育児本というと、「息子N人を○○大学に入れました」的な本が話題になることが多い。正直なところ、僕はそういう本を読もうとは思わない。「将来への準備」のために子どもを育てるというのは(そしてそれが人生の成功であるかのように語るのは)本末転倒だと感じるからだ。


「子どもらしく日々を楽しむ」「放課後に友人や家族らと色んな体験をする」「夢中になって何かにのめるこむ」等、「今」を大事に感じる育児ができる環境がもっと広がっていけばいいな、と思う。


そのためには、僕ら大人の考え方、発言、行動がとても大切。
まずは、自分自身が「夢中を止めない」生き方をすることから始めよう。

そんなことを感じる読書体験だった。


関連情報

健太郎くんの『文房具図鑑』

山本香さんの長男・健太郎くんのつくった「文房具図鑑」、どんな本か気になりますよね。

検索でたどりついたページをみると、どれも圧巻!(ぜひご覧ください)

https://iroha-shop.jp/blog/2016/01/28.aspx

<

山本香さんのブログ

「お母さん大学」のサイト内にある、山本香さんのブログ。

健太郎くんの小さい頃の姿や、本書にはのせきれなかった作品たちが多数登場しています。


(追記)今回の著書出版について書かれた言葉、とても印象的で素敵でした。

たくさんの方のお力添えと想いと心が紡がれて形になりました。

この本には大切なカケラがキラキラ輝き、集っております。
大切なカケラの芽、手に取っていただいた方の心にも
芽吹きますように・・・

本・・旅立ちました|心の色

本ブログ過去記事

「夢中を止めない」に関連して思い出したのが、モンテッソーリ教育の記事。

子どもの持つ知的好奇心に着目し、その子がいまどの感覚の「敏感期」にあるかをもとに、興味・関心を深く掘っていく、という考え方が共通していそう。



子どものもつ無限の可能性については、映画「こどもこそミライ」の記事を。


もうひとつ、子どもの「夢中」力を大人みんなでサポートする企画「ぬいぐるみお泊まり会」の話。