こんなにも誰かを好きになるなんて、何年ぶりだろう……?
そんな風に思うほど、繰り返しくりかえし聴いているのが Goose house の 2nd フルAlbum『Soundtrack?』だ。
Goose houseとは
Goose houseをご存じない方は、まず以下のエントリをどうぞ。
振り返ってみると、CDを発売前に予約したのは十数年ぶり。この気合いの入り方に、正直なところ自分でも驚いている。40歳を過ぎたオヤジが、こんなにも夢中になってしまうのはなぜなんだろうか(笑)
理由のひとつは、彼らが醸し出す「音楽を好きで好きでたまらないオーラ」。これは YouTube にアップされている演奏動画をみても感じてもらえるだろう。
そして、もうひとつの理由が、Goose house メンバーが歌詞の世界をとても大切に歌っている、ということ。彼らが、USTREAM ライブでAKB48や乃木坂46らアイドルの楽曲をカバーしているのを聴いて、「こんな素敵な歌詞だったのか!」と再発見することもしばしばある。
アルバム「Soundtrack?」
今回のアルバムは「架空の青春映画のサウンドトラック」というコンセプトでつくられていることもあり、一段と歌詞を気にしながら聴くことになった。こんな映画、という想定だ。
恋人を交通事故で失くし、声を失った歌手志望の少女。彼女に、もう一度歌ってもらうために友人たちはタイムマシーン製作に挑みます。しかし、集まった仲間たちは、何かが欠けたちぐはぐな仲間たち。ストーリーを描けない漫画家、過去を抹消したカフェ女店主、科学研究所を解雇された科学者といった登場人物たち。ストーリーのさまざまなシーンを想定して曲はつくられました。シーンとシーンの間は、あなたの想像力で紡いでください。トラックの順番どおり聴いてもらえれば、まるで1本の映画を見たような気持ちになるはずです。 (Facebook Goosehouse.jp より)
というわけで、このエントリでは『Soundtrack?』の歌詞のなかで出合った素敵なフレーズを、全11曲それぞれについて取り上げてみたい。超私的セレクト&思い込みの入った聴き方なので、「えぇ〜、この部分の方がいいよ」「その解釈は違うんじゃない?」などの声もあると思うが、そのあたりはご容赦を。
それでは、CD 付属のライナーノーツ、Scene解説文 をインプットとして、妄想もごっちゃに加えた全曲紹介、いってみます。
(なお、「メインボーカル」にはメロディパートを歌っているメンバ名を*推定*で書いています*1<登場順>。)
【妄想入り全曲紹介】Goose house 『Soundtrack?』
01. Extra (メインボーカル:竹渕慶さん)
「恋人の事故死のショックで歌声を失った夏美」の心情を歌う1曲目。
目に映った、思い出がつまっているであろう物たちを次々に挙げて、過ぎ去った時間を愛おしむように懐かしむ。
そんな歌詞が続いたあと、サビの後半に登場するのはこんなフレーズ。
in this apathetic world
Each of us are Extras with hopes unshed
(→勝手に日本語訳*2 )
悲しいんだけれど、もう涙も枯れてしまったイメージ。
聴く側に、喪失感の切なさがいっそう伝わってくる。
曲の初めと終わりに挿入されている 8mm映写機(?)がカラカラ回る音も、ふりかえり感を増していていい。
02. タイムマシン (メインボーカル:ワタナベシュウヘイさん、d-iZeさん、工藤秀平さん、マナミさん、沙夜香さん ?)
一転してアップテンポで力強い曲調に。
夏美の幼なじみである「引きこもりSF少年の鉄平」は、彼女の歌声をとりもどすため、タイムマシンをつくることを思いつく。
突拍子もないアイデアだけど、それが実現したときのワクワク感が歌われていて気持ちいい。
曲調が一瞬変わる Cメロ ではこんなフレーズが出てくる。
歴史を変えるとか そんなの興味ないさ
ただひとつ 君に“好き”と言わせたい
(2014.2.22のUSTREAMライブでの演奏)
タイムマシンの使い道ってこういうのもありかもね、と思った。
わっしゅうさんが歌うこの高音部分、とても好き。
03. 3/4 (メインボーカル:工藤秀平さん、d-iZeさん、竹澤汀さん)
爽やかなコーラスがかぶさって始まるこの曲。
夏美をいたわる鉄平の気持ちが歌われているのかな。
タイトルを見て「?」と思っていたけど、このサビのフレーズを聴いて「!」となった。
夏に終わった 恋の痛み キミの季節の 4分の1
これから作る 春 秋冬 増える思い出 4分の3
一番の最後に登場する“♪次の夏二人で 1になろう”も、「あ〜、なるほど」と膝をうつフレーズ。
(2013.8.24 の USTREAM ライブで演奏)
04. 真夏のミッション (メインボーカル:マナミさん、ワタナベシュウヘイさん、竹渕慶さん)
ボイスパーカッション(?)のノリのいいリズムで始まるこの曲。
仲間が集まったガレージで、タイムマシンをつくりだしたって想定かな。
試行錯誤しつつも、少しずつ前に進んでいるような楽しげな感じ。
サビ後半のフレーズにもそんな想いがかいまみえる。
僕らの真夏のミッションは終わらない
勇気だけがパスコードさ
何度でも作り出そうよ
本気になればなんだってできる
歌詞に「パスコード」が出てくるのが今っぽい。
なお、間奏・後奏にさしこまれている、遊び心たっぷりのセリフ(しゃべり?)も楽しさをさらに増してます。*3
(2016年6月のUSTREAM放送にて)
05. ここにいるよ (メインボーカル:沙夜香さん、竹澤汀さん)
しっとりしたピアノのメロディで静かに始まる曲。
前曲「真夏のミッション」で情熱的にとりくんでいた状況から、ふと登場人物が立ち止まって考える。そんな趣きだ。
聞こえてくるのは、汀さん&沙夜香さんのハモリで歌われるこんなフレーズ。
ねえ ここにいるよ
名のない花のように
ねえ ここにいるよ
静かに咲いているよ
聴いていてとても切なく、そして応援したくなる一曲。
06. グッドモーニング (メインボーカル:竹澤汀さん)
「材料調達屋の源さん」が主役の曲。
でも歌っているのは汀さん。「カーラジオから流れてきたメロディ」という設定のようだ。
ミディアムテンポのリズムにギターの伴奏で(どちらかというと)淡々と進んでいく曲のなかで、お!とおもったのがこちらのフレーズ。
作り出す人 使う人 でもそれだけじゃ回らないよね
ラスト一つの歯車は 案外僕なのかもしれません
最初はピンとこなかったけど、この曲に登場する「僕」がゴミ回収の仕事をしていると分かると、源さんと同じようにニヤッとできた。
07. ふたつの月 (メインボーカル:d-iZeさん、ワタナベシュウヘイさん)
幼なじみのために情熱を燃やす鉄平が頼るのは、「ロシア帰りの科学者」未来。
未来は「理論上はタイムマシンはつくれる」と豪語するけれど、失敗の連続をうけて徐々に仲間たちの心がバラバラになっていく……。
そんなシーンのBGMに流れそうなのがこの曲。
2番のサビにはこんなフレーズが登場する。
「月はやさしいね」僕のとなり君がそう言った
ちがう月をみて 心が満たされてゆく
アポロ 僕の月もやさしいんだ
みなは、月の中にはウサギが見える、と言う。
でも、「僕」にはサカナが見えている。そんなことは言えなくて……。
「ちがう月」のように見えていても、となりあって同じ月を見ている二人。
手段や表現はちがっても、気持ちは通じあっている。
そんなふうに、やさしい気持ちにさせてくれる曲。
08. 今、走れ! (メインボーカル:ワタナベシュウヘイさん、マナミさん、工藤秀平さん)
何かが吹っ切れたような鉄平が、ママチャリで朝の海岸線を疾走するシーン。
サビで流れるこのフレーズが、彼が再度胸にきざんだ決意を物語っている。
過去の後悔も 未来の理想像も
蹴り飛ばせ Oh Oh ほら何も怖くないさ
ちらつく夢も 残った傷あとだって
世界に1つしかないもの 今 今 今 走り出せ
そう。過去も未来も、ここにはない。
「今」を見つめて、できることをただひたすらに!
(2014.6.28 の USTREAM ライブで演奏)
09. ごはんを食べよう (メインボーカル:沙夜香さん、マナミさん、工藤秀平さん)
家族や友だちの愛情って、あまりにも身近すぎるがゆえに、ふだん感じられなかったり、時には重かったりするもの。
でも、なにかの拍子でその想いに気づいたとき、「ありがたさ」と「嬉しさ」と「照れくささ」がないまぜになって、口では説明できない感情がグワッと胸にせまってくる。
こんなにも温かいごはんが こんなにも温かい笑顔が
こんなにもすぐそばにあったんだ
何か話す訳でもないけど「おいしいね」の一言で
分け合える愛がある 思い出せる愛がある
愛がある
自分のごくごく近くにある優しさや幸せを、もっと感じとりたいと思える一曲。
(2013.11.16 の USTREAM ライブで演奏)
10. 五線譜の空 (メインボーカル:竹渕慶さん)
付き合っていた彼を事故で失った、夏美。
事故をきっかけに声を失っていた彼女が、仲間の想いを受けて最終オーディションのステージでマイクに向かう。
キミがいない世界なら 「声」は生まれなかった
だからこそ 「声」で返すよ 「想い」くれたキミへ
魂のこもった高音が、とても強く訴えかける。
架空の映画のストーリーが、もっとも胸に響く曲。
11. 永遠の八月 (メインボーカル:d-iZeさん、竹渕慶さん、ワタナベシュウヘイさん、竹澤汀さん、工藤秀平さん、沙夜香さん、マナミさん)
全員がかわるがわるメロディを歌う、アルバムラストをかざる曲。
映画の登場人物たちも、それぞれの生活のなかで笑顔でいきいきと活動しているシーンが流れる。
みなでタイムマシンづくりに奔走した八月。
結局、マシンは完成しなかったのだけれど……。
工場の中には、ひっそりと未完成のままのタイムマシン。
マシンのアップからカメラがズームアウトしていくと、7人がその周りをとり囲んで、カメラ目線を送っている。
「それじゃ、いくよ」
パシャリ!というシャッター音とともに、「なんだよ、緊張しすぎだよ。もう1枚いくよ」の声。*4
ここで映像がストップ。さっき撮ったポラロイド写真が壁に貼られて、徐々に色あせていく…。
ときは流れて十数年後(?)。
大人になった鉄平が、引き出しの中から出てきたポラロイド写真を、何年ぶりかに懐かしそうに眺めている。
「あなたー、ごはんよー!」階下から呼ぶ妻の声。
「おー、いま行くよ」とこたえ、写真をまた引き出しにしまう。
そこで流れてくるのが、このフレーズ。
今のボクは 写真の少年に胸をはり
これがキミの未来だと 言えるのかな?
少年時代の自分に見せる、今の自分。
「これがお前の未来だよ」そんなセリフを胸張って言える自分でいたい。
おわりに
……というわけで、『Soundtrack?』の妄想入り全曲紹介、いかがだったでしょうか?
ほんの思いつきで、さらっと歌詞を紹介するつもりが、書いているうちノリノリになって妄想だらけになっちゃいました(笑)。
最後までおつきあいいただき、ありがとうございます。
それぞれがどんな曲か興味がわいた方は、ぜひ iTunes で視聴してみてください。
(曲の一部を聴くことができます。前半6曲、後半5曲)
そして、気に入ったらぜひ購入を!
CD
Goose house関連リンク
- Goose house 公式サイト
- Discography、Members Profile、Live Schedule(名古屋・大阪・福岡・東京で)
- Goose house Facebookページ
- Goosehouse - Wikipedia
- Goose house チャンネル - YouTube
- USTERAM:Goosehouse
- もう Goose でいいよ。 (ヨナデン・ロクタさんによる Goose house カバー曲のライブラリ)
- メタ情報が追加されていて検索・参照がしやすいのがありがたい。また、当日の演奏・放送の様子や、過去の演奏曲とのつながりなどの背景が掘り下げて解説されていおり、Goosehouse への深く大きな愛を感じます!
- 『Soundtrack?』のストーリー想像集
- Goosehouse(Minato Nakazawaさんのサイト):「想像した舞台」としてすごく詳細に!
- 『Soundtrack?』を題材とした舞台が実現。ついに本物のストーリーに!
- 劇団TEAM-ODAC 公演『真っ白な図面とタイムマシーン』(日付:2014.3.8〜3.16、会場:青山円形劇場)。
本ブログのGoose house関連エントリ
- 再生回数1億超!? 息子に教えてもらった Goose house が凄い!
- ちなみに、8/18現在の YouTube再生回数は 1億6800万回 を越えていました!(最新数値は Goose house チャンネルにて)
- 息子と僕のMilk&Bitter / Goose house #goose7 - ヒト感!!
- 3rd, 4th フルアルバムは親子で分担して購入(笑)
追記
2013/8/24
- Yahoo知恵袋でこんな質問を発見。同じようなことを考えている人、いるんですね〜。
- 発売から3週間が経った今も『Soundtrack?』をヘビーローテーション中。一方、1stアルバム『Wandering』のamazonレビューで40代男性の感想を見つけ、あまりにも共感したのでこちらも購入しちゃいました!
2013/8/25
- 「『Soundtrack?』のストーリー想像コレクション」を作りました。みなで想像したストーリーを集めてみると楽しいかなと思って…。今後も見つけたら追加していきます。
2013/8/31
- Goosehouse関連リンクに、「もう Goose でいいよ。」を追加しました。
- 8/24 USTREAMライブで演奏された "3/4" のYouTube動画へリンクを貼りました。
2013/9/14
- 1曲目 Extra のサビ部分を、和訳(日本語詞化?)してみました。英語に詳しい方、ぜひご意見を。
2013/12/1
- 11/16 USTREAMライブで演奏された "ごはんを食べよう" のYouTube動画へリンクを貼りました。
2014/3/12
- 2/22 USTREAMライブで演奏された "タイムマシン" のYouTube動画リンクを貼りました。
2014/7/7
- 6/28 USTREAMライブで演奏された "今、走れ!" のYouTube動画へリンクを貼りました。