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地酒とカクテルとライフワーク 〜『ライフワークの思想』から

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外山滋比古さんの『ライフワークの思想』を読んだ。

ライフワークの思想 (ちくま文庫)

ライフワークの思想 (ちくま文庫)


この本は、外山さんが「人間と文化を考え」ることをテーマに書いたエッセイを集めたもので、もともとは1978年に出版されたもの*1。当時50歳を超えていた外山さんが書く「ライフワーク」という言葉には独特の味わいがある。


冒頭に収められているエッセイ「ライフラークの花」のなかに、こんなフレーズがあった。

どんなに貧しく、つつましい花であっても自分の育てた根から出たものには、流行の切り花とは違った存在価値がある。それが本当の意味での“ライフワーク”である。(p.12)

花屋で売っている(あるいは誰かが育てた)きれいな花をみて、その成果たる花だけを切り花で入手して身のまわりを飾っても、散ってしまっては何も残らないではないか、というのが外山さんの主張。次から次へと本を読んでは新しいことを試している自分には、まったくもって耳が痛い。


また、地酒とカクテルに喩えて、こんな表現もされている。

 酒でないものから酒をつくった時、初めて酒をつくったといえる。ただし、その過程で失敗すれば、甘酒になってしまうかもしれない。酢ができてしまうこともあるだろう。必ず酒になる保証はないが、もし、うまく発酵してかりにドブロクでもいい、地酒ができれば、それが本当の意味で人を酔わせる酒をつくったことになる。(中略)
 われわれは、地酒をつくることを忘れて、カクテル式勉強に熱中し、カクテル文化に身をやつして、齢をとってきた。(中略)もちろん、すばらしいカクテルをつくってくれる人も必要だが、それで、酒をつくったように錯覚してはならないのである。


イチロー選手のメジャー通算2000本安打達成などの快挙をみるにつけ、自らの信じる道をコツコツと継続することの大切さをあらためて実感している今日この頃。自戒をこめてエントリ。


追記:
 少し前に読んだヨシナガさん*2の『ハイブリッドワーカー』では、会社勤めをしながら小説家や漫画家、ミュージシャン、料理研究家を楽しんで、イキイキと生きている人たちが紹介されていた。外山さん本との不思議な「つながり」を感じる。

*1:『中年閑居して……』日本経済新聞社刊

*2:僕の見た秩序。」の中の人